かくれ里

土曜日, 8月 20, 2016

セルロースナノファイバー



日本製紙は新工場を建てて、新素材のセルロースナノファイバー(CNF)の生産を始めると発表した。CNFは木材などの植物から作られる次世代の素材で、将来的に幅広い活用が期待されている。

CNFは植物繊維を化学的・機械的に解きほぐしたもので、繊維一本の直径は数ナノメートルしかないが、鉄の5分の1の軽さで強度が5倍もあり、しかも透明で熱を加えても膨張しにくい。樹脂と混ぜて自動車部品に使えばかなりの軽量化ができる。

日本製紙は、子会社のクレシアより、CNFシートを挟み込んだ大人用のおむつを発売した。この製品はCNFに含ませた銀などの金属イオンが、不快な臭いを吸着する仕組みで消臭機能を高めた。今後はその他の特徴も生かしつつ、様々な分野に広めたい模様だ。

他の製紙各社も様々な商品の開発を進めているようだ。しかし、夢の素材と言われる分、技術的な課題も少なくない。樹脂とCNFを混ぜると言っても高度な技術が求められる。現在の製造コストは炭素繊維より高いが、量産効果で数年後にはかなり下げられそうだ。日本の国土の7割を森林が占めているのに森林の活用が進んでいない。CNFの普及は森林資源の有効活用になるのではないだろうか。