かくれ里

木曜日, 11月 07, 2019

アラブの春とその後


 中東のイラクとレバノンでは大規模な反政府デが広がり首相が辞任を表明する事態となっている。若者たちが、高い失業率、水や電気の不足、政治家たちの汚職に抗議して、政府の退陣を迫った。これに対して政府側は、実弾で鎮圧を図ったため大勢の死傷者が出ている。
 
 中東のアラブ諸国では、8年前にも民衆の抗議デモによって政権が倒れる「アラブの春」と言われるものが起きた。この時は、イラクもレバノンも長期独裁政権だった。しかし、今回は民主的な選挙で選ばれた政権が退陣を迫られているのだ。
 
 イラクもレバノンも異なる宗教や宗派、異なる民族で構成されていて、「アラブの春」以後も各勢力間で権力の分配を図って、それぞれの勢力の指導者たちが「利権」を握り「汚職」が蔓延し、国民不在の政治が続いていた。
 
 希望に満ちていたはずの「アラブの春」は短かった。その後の中東では、民主主義への幻滅、市民の間の相互不信。絶望が果てしなく広がって行く中で、イスラーム国(ISS)が生まれて、益々混乱していった。