豊作貧乏
宅配業界大手のヤマト運輸が、27年ぶりに運賃の値上げに乗り出す模様だ。送り主側としては安いに越したことはないが、企業側にも値上げしなければならない事情があるようだ。
ヤマト運輸が扱う宅配便の個数はここ5年間で3割伸びた。しかし、ネット通販の普及で運賃の安い小型の荷物が増え、一個当たりの収入は減っている。そうした中でドライバーの長時間労働が社会問題化している。値上げによる増収分で働き手の待遇改善を進めるつもりのようだ。
会社側では「豊作貧乏」だと危機感を強めている。経済学でいう「豊作貧乏」とは、豊作のため農作物の価格が下降して、かえって農家の経済が窮迫することで、豊作飢饉ともいう。豊作であるにもかかわらず、作物価格の下降などで飢饉時と同様に農家の収入が大幅に減少することだ。
昭和のころの高度成長期には、我々の商売は大変忙しかった。しかし、お互い疑心暗鬼で値引き合戦を行い、忙しい割に儲けは少なかった。このような状態も「豊作貧乏」というのだろうか。
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