かくれ里

日曜日, 8月 06, 2006

広島の思いで

 8月6日は広島に原子爆弾が投下されて61年目になる。今年も原爆ドームのある会場では記念の式典が開かれている。広島に続いて3日後には長崎にも投下され、わが国は世界で唯一の被爆国となった。この時の惨状はご承知の通りだが、実は、昭和20年8月6日午前8時15分、僕は広島県呉市に住んでいた。爆心地から離れていたので直接の被害はなかったが、裏山の上にきのこ雲を見た。

 昭和20年3月の大阪大空襲で被災した時、僕は5歳だった。母と妹二人と僕は、呉の造船所で徴用工として働いていた父を頼って広島に来ていたのである。現在は呉市に編入されているが、当時は広島県安芸郡の山村だった。この日の朝、付近が騒がしいので、窓を開けて裏の山を見上げると黙々と煙が上がっていた。あとで分かったことだがこれがきのこ雲だった。当時の記憶はあまり定かではないが、きのこ雲のことだけははっきり覚えている。

 広島にはその後7年間余り住んでいたが、楽しかったこと、悲しかったこと、色んな思い出がいっぱいある。当時のことを考える時、日本は敗戦のあの廃墟から良くここまで発展したものだと思う。もう一度当時のことをゆっくり考える時間を持ちたいと想う昨今である。