かくれ里

日曜日, 12月 13, 2009

歌声喫茶


 昭和30年代、大阪にも歌声喫茶があって大層賑わっていた。店内では、ピアノやアコーデオンの伴奏に合わせて、ロシア民謡や日本の唱歌や労働歌などを、ステージリーダー(司会者・歌手)と一緒に、店が作った歌集を見ながら歌う。

 僕も、六甲へハイキングに行った帰りなどに、梅田にあった歌声喫茶「こだま」へ、友人たちと何度か行った思い出がある。店内はいつも満員で熱気があふれていた。ひとしきり声を張り上げて歌い、気分爽快になって帰ってくるのだった。

 当時、うたごえ運動のような労働者の政治活動においても、連帯感が保てる歌声喫茶は大きな役割を果たしていた。やがて、昭和40年後半にはカラオケボックスが登場して、歌声喫茶のブームは終わった。

 しかし、東京には現在も営業している歌声喫茶がいくつかあるようだ。定年退職して年金暮らしをしている人たちが昔を懐かしんでやってくるそうだ。店の歌集には、日本の愛唱歌から、アジアの歌、ロシアの歌など、どれも一度は歌ったことのある懐かしい曲が並んでいる。大阪にもこんな店があったら行ってみたいと思うのだが。