かくれ里

火曜日, 11月 21, 2017

光触媒


今年の文化勲章受章者で東京理科大学学長の藤嶋昭氏は、50年前に酸化チタン光触媒を発見した。毎年ノーベル化学賞候補にノミネートされている日本を代表する化学者だ。
 
光触媒は太陽光が当たるとその表面で強力な酸化力が生まれ、接触してくる有機化合物や細菌などの有害物質を除去することが出来る。この原理を用いて、水処理や大気中の窒素酸化物の分解、室内空気の浄化など、環境浄化に利用することが出来る。
 
今年3月、日光東照宮の陽明門の修理が終わり、話題になった。世界遺産の建物も彫刻も良好な状態に保つためには常に手入れをする必要がある。文化財を末永く保存するために光触媒の抗カビ効果を活用した保護という新たな分野の開拓がはじまったのだ。
 
光触媒による文化財の保護を実現するには、漆塗りを施した木材の表面に光触媒をコーティングする技術の確立が必要だ。将来的には光触媒効果による文化財の保護と同時に光触媒コーティングを施して付加価値を高める技術が生まれることが期待されている。