かくれ里

木曜日, 8月 27, 2020

真空管

 

僕がこの業界に入ったころは真空管が全盛の時代だった。しかし、電子部品としての役割はトランジスターなどの半導体にとって代わられ、70年代には真空管を製造していたメーカーは撤退し、その後は半導体や電子部品の製造を主力事業としてきた。

しかし現在でも、オーディオアンプ用に真空管は、やわらかく味わい深い音がでると、愛好者の支持が根強い。オーディオアンプ用の真空管を国内で唯一製造しているメーカーがある。

京都府久御山町の高槻電器工業だ。2007年、創業50年を機に国産真空管の復活案が持ち上がり、試行錯誤を重ねることによって、国産の真空管を35年ぶりに復活させることに成功した。

すべて訓練の積んだ技術者の手作業で、ひとつひとつ慎重に仕上げるため月産50本が限度という。価格はペアで16万5000円と決して安くないが、品質の良さで愛好家からの信頼が厚く、世界でも「TAKATSUKI」ブランドとして高く評価されているそうだ。