かくれ里

水曜日, 3月 04, 2015

金の卵


戦後、高度成長期に入り、製造業界では単純労働者を必要とした。小売業、飲食業も補助的な労働力を求めていた。賃金も農村部より都市部の方が高く、毎年大量の中卒者が農村から三大都市圏に移動した。
 
一方、中卒者を送り出す側の事情としては、生計が苦しく、進学させる余裕がない世帯が多かったので、子供が自立することを期待して就職させようとする考えがあり、学校側も集団就職として送り出した。
 
就職後、低賃金で長時間働く労働者となり、技術を習得して有能な職人として成長してくれることを期待し、中小企業の経営者にとっても貴重な戦力だった。当時、彼らは「金の卵」と言われていた。
 
やがて製造業はオートメーション化し、単純労働力として中卒者はいらなくなり、高卒者優遇の時代に入った。今は高等学校も義務教育化されて誰もが進学する時代になった。浩登には祝いの言葉と一緒に、「金の卵」の話もしてやったが、果たして理解できただろうか。